sp_menu

染色体工学分野の博士前期課程大学院生 清水丈さんとHuynh M Anhさん,吉田英樹 准教授は,ショウジョウバエのドーパミン作動性神経におけるpgkのノックダウンが,パーキンソン様症状を引き起こすことを明らかにしました。本成果は,『Neurochemistry International』に掲載されました。

パーキンソン病(PD)患者は、黒質のドーパミン作動性(DA)神経の喪失による硬直、振戦、姿勢の不安定性、および動作緩慢を特徴とする進行性神経変性運動障害を示します。近年、ホスホグリセリン酸キナーゼ1(PGK1)をコードする遺伝子の突然変異を持つ患者が、パーキンソン様症状を示すことが報告されました。PGK1は、1,3-ジホスホグリセリン酸から3-ホスホグリセリン酸への反応を触媒する解糖系の重要な酵素です。本研究では、ヒトPGK1のショウジョウバエホモログPgkのノックダウンにより、ショウジョウバエにおいてもパーキンソン様症状を示すことを報告しました。DA神経特異的Pgkノックダウンショウジョウバエでは、成虫の中枢神経系におけるドーパミンレベルが低下し、成虫における運動障害し、加齢に伴う進行性のDA神経の喪失を示しました。 これらの表現型は、ヒトPD患者の症状に類似しており、本研究で確立されたPgkノックダウンショウジョウバエがパーキンソン症候群の有望なモデルであることを示唆しています。さらに、全神経におけるPgkノックダウン系統では、3齢幼虫の中枢神経系において、ATPレベルの低下と活性酸素種の蓄積が見られました。これらの結果は、Pgkノックダウンによるエネルギー生産システムの障害が、DA神経の機能障害と変性を伴う運動障害を引き起こすことを示唆しています。

 

Novel Drosophila model for parkinsonism by targeting phosphoglycerate kinase.

Jo Shimizu, Takashi Kasai, Hideki Yoshida, Anh M Huynh, Yumiko Nakao-Azuma, Makiko Shinomoto, Takahiko Tokuda, Toshiki Mizuno, Masamitsu Yamaguchi. Neurochemistry International. (2020) 139:104816. doi: 10.1016/j.neuint.2020.104816. (Accepted 19 July 2020).