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細胞内小胞輸送系メンブレントラフィッキングによる細胞分裂面へのタンパク質および脂質輸送メカニズムの解明

 細胞増殖の最終過程において細胞は2つの娘細胞に分裂します。その際にアクチンとミオシンを含む収縮環という構造が細胞分裂面に形成され、細胞は2つに分断されます。この構成成分や新たな細胞膜成分を細胞分裂面に運ぶ機構については、よくわかっていませんでした。昆虫バイオメディカル部門の井上喜博准教授と博士後期課程大学院生北澤大志氏(2014年度卒)は、独自に開発した、ショウジョウバエ雄減数分裂細胞のバイオイメージング観察システムを用いて、これらの因子が細胞分裂期の最終段階に膜小胞を介するメンブレントラフィック機構により運搬されること、このとき分裂期の微小管構造がレールの役割をして、膜小胞を分裂サイトに運搬することを明らかにしました。この発見は、細胞分裂時には細胞内のタンパク合成、運搬機構は不活化されているという従来の説を修正し、メンブレントラフィックの細胞分裂期における役割を解明してゆく上で重要な手がかりになりました。この研究成果は国際誌Journal of Cell Science誌(詳細PDF参照)に掲載されました。

J Cell Sci. 2012 Aug 1;125(Pt 15):3649-60. Epub 2012 May 2. COPI-mediated membrane trafficking is required for cytokinesis in Drosophila male meiotic divisions. Kitazawa D, Yamaguchi M, Mori H, Inoue YH.

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